Disease is not real

今日はまじめな学会報告です。
イタリアにいったのはPCSI Patient Classification System Internationalという学会に行く為でした。

学会初日にはケースミックスの統計手法などのワークショップが開かれた。私はそのうち長期ケアのセッションに参加した。英国の事例をもとに議論がなされた。英国では長期ケアのサービス提供者が二つに分かれている。すなわちNHSと社会福祉サービスで、後者は主に地上自治体から提供されている。

英国のケースミックス区分はHRGといわれ、「結果による報酬Payment by result」に基づいている。この用語はよく誤解されているが、実際は行ったサービス量に基づいた予算化である。長期ケアでも病院に行われているケアはHRGコードの中にまとめられる。やはり英国でも医療側からみた長期ケアと社会福祉から見た長期ケアという2重性を持っている。どちらがケアマネージャーを行うかは、単に病院か、地方自治体の窓口のどちらに行ったかという違いにすぎない。日本の介護保険前夜みたいな状況だ。

2日目の招待講演ではジョンズホプキンズ大学のBarbara Starfieldの講演があった。すでに70歳を超えているだろうけど、とっても元気な先生は今はPrimary Careの教科書を書いているとのこと。この人はACGをつくった人である。その他併存疾患(Comorbidity)の重複例の診療の問題点から「診断名は現実ではない(Disease is not real!)、空想の産物にすぎない,人間を診療することは、個別診断を見ることではない、診断名を元にした報酬制度はやめて人間全体を見るようにかえる必要がある」と果敢に発言し物議をかもしていた。

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Starfield先生とは同宿で、朝食後に写真を撮らせてもらった。

一方私はリハビリ区分のセッションで、カナダ、英国、フィンランドに続いて発表した。すべての国でRUG以外の手法が選択されており、その理由は、自国の制度に合わないこと、説明力が低いことが挙げられた。私の発表は、タイムスタディーに基づく高齢者のケースミックス区分は高齢者のケア時間の約半分を説明するが、この区分法は医療ニーズやリハビリニーズについてはほとんど説明できていないことをタイムスタディーのデータに基づいて発表した。最後は高齢者のケースミックスにおいては、医療・ケア・リハビリニーズをそれぞれ別の軸で測定することでより良いケアマネジメントに結びつけることができる。RUGでも要介護度でもタイムスタディーの妥当性の研究はあるが、それぞれのレベル毎の医療ニーズを検討した研究は少ないのが現状だ。そもそもRUG区分には医師の診療行為は入っていない。

学会の多くは急性期のケースミックスの話だが、私はあんまり興味が無い。今回学会賞を受賞したのはJason Sutherlandの精神科ケースミックスの話。Jasonは私と同様Bikerでもあり、ラスムッセンは無実に違いないとなんども語り合った。学会賞で1000ユーロもらったので、ホイールを買うといっていた。シャマルぐらいは買えるだろう。 

この学会は患者の診断・区分法について科学的なアプローチ、およびUniversalな議論が歓迎される。なお来年はリスボン、2009年には日本で開かれる予定である。
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by giro1965 | 2007-11-12 12:17 | 医療