シクロクロスが好きなGIROの日記


by giro1965
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カテゴリ:Books( 7 )

巨人たちの落日

巨人たちの落日
出張が多いと読書が増える。

巨人たちの落日(上) (ソフトバンク文庫)

ケン・フォレット / ソフトバンククリエイティブ




「巨人たちの落日」はケン・フォレット「大聖堂」の作者が第一次世界大戦をテーマに書いた大河ドラマ小説だ。
話は1900年初頭から始まり、1920年頃に終わる。


さて、第一次世界大戦は、オーストリアの皇太子がサラエボで民族主義者の殺されたということに端を発しているということは学校で習った。しかしそれがどういう連鎖で世界大戦になったかは良く分からないままだった。この本は、そのあたりの事情を、ドイツ、イギリス、アメリカそしてロシアの視点から、それぞれ旧世代と新世代への引き継ぎという過程を用いて描いている。

そんな中、当時の私の先祖・・・祖父母、曽祖父母がどういう時代を生きていたのかを想像しつつ読んでいった。

たかが、バルカン半島の民族主義的な動き、そもそもなんで、オーストリア皇太子がサラエボでパレードなんかするのか?そこはオーストリアではなくボスニアだろ!というのは、当時は植民地みたいなもんだったんだろうな。

以前、スロベニアの鉱山を訪れたとき、そこはオーストリアの鉱山、つまりドイツ人の鉱山にスロベニア人が働くという構図があった。おそらくはセルビアもトルコの支配が除かれた跡は、オーストリアによる経済的な支配があったに違いない。セルビアという国はあったけど、傀儡だったんだろう。

そこで、皇太子が殺される、するとオーストリアはセルビアを処罰しなければならないので、軍を進める、するとバルカン半島のバランスが崩れる。ロシアは黙っていられない。ロシアと同盟関係にあるフランスは参戦せざるをえない。オーストリアと兄弟の国であるドイツも参戦せざるをえない。イギリスは、ドイツを封じ込めておきたい。フランスが負けそうになると、アメリカも黙っておれない・・・・・そんな連鎖が戦争になっていく。

幸い現代の戦争は、そうはならない。みんな核が怖いからだ。でも民族主義のテロリズムはどこにでもあるのが現代。民族テロが核爆弾を握る日もいつかくるんだろうな。世界中がフクシマ以上の核汚染という日がくるかもしれない。

日本は今回、自然災害という一種のテロにより、いかに核が悲惨な結果をもたらすか学んだはずだ。
それをどうやって世界に伝えるのか、それが日本人の役割だろう。

この本の中に、このような一節が出てくる。
それは、国際連盟を作ろうとしているアメリカのウイルソン大統領への、パリ講和会議での日本の提案だ。

牧野男爵はウイルソンの14か条に含まれていた「宗教の自由」に加えて、人種差別を撤廃し、全加盟国が相互の国民を平等に扱うことをこの条項に付け加えて欲しいと述べた。
ここには政治的な意図もあるだろう。でも立派な理想を掲げていた。 それが元で失敗もするのだろうけれど。


ところでこの日本の提案はウイルソン大統領に無視された。彼は黒人と白人が区別されて当然だと考えていたかららしい。

さて、現在の日本は、被爆国でありながら、反原発など言える状況には無いような気がする。

たとえ、それが理想でも、理想について語ることが気恥ずかしい国になってしまったのか?

これからの若者たちはどのように考えるのだろうか?
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by giro1965 | 2011-06-16 23:07 | Books

パウドリーノ

バウドリーノ(上)

ウンベルト・エーコ / 岩波書店



久しぶりにまともな読書、学生時代に読んだ、薔薇の名前、フーコーの振り子の著者、エーコの新作。お勧め度5段階評価の3+ぐらいかな。歴史が好き、かつガルガンチュアパンタグリュエルみたいな、とんでもない空想が好きな人にはお勧め。

上巻は主人公パウドリーノは、ひょっとした「嘘」からフリードリヒ赤髭公の養子となり、ヨーロッパ中を冒険し、皇帝バルバロッサと、第三次十字軍に旅立つ。ここまでは、歴史冒険小説。下巻はさらに荒唐無稽になり、司祭ヨハネの国に旅立つ、という設定になっているが、どこまで本当か、わからない、というか、すべて嘘なのは明らかな、中世奇譚小説。

最後には、自分もどこまでが本当かわからなくなり、そしてその話を聞いた歴史家ニケタス・コニアテスとの会話の行方は・・・という伝記ものになっていく。

嘘の話といえば、古川日出男『アラビアの夜の種族』が、似ているかも、どちらも歴史的舞台から話がはじまって、壮大な嘘の世界に連なっていく。こちらが極東の作者が見た中近東奇譚、一方エーコは西側の視点。日本人として読みやすいのは多分アラビアの夜の種族かな。

この二人の、一方はパウドリーノことエーコ、もう一方は古川日出男の法螺吹き度はすごい。小説とはわかりながら、法螺をかくさない両者、特にエーコの小説は、嘘とはなんぞや、ということを、ヨーロッパの教会中にある聖遺物を中心に考えてしまう。そういえば、今NHKで小説「大聖堂」もやっていたなあ。あれも聖遺物の嘘についての物語があったな。

私は凡人、せいぜいエゴの一部を膨らませた誇大妄想で、自分を虚飾するのが精一杯。どうせなら、こんな法螺吹きになれないかな、なんて、向こう側は小説の世界。
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by giro1965 | 2011-02-22 15:24 | Books

キハ47

このところ自転車にのっていません。その代わり、鉄っちゃんの修行してまいりました。

以前から仕事でしょっちゅういっていた熊本県人吉。福岡にすんでも、博多駅から高速バス、そして、奈良にきても、鹿児島空港から高速バス、というのが通常のルートです。

しかし、今回は事情があって、鉄道にしました。肥薩線という超マイナー路線、どうせがらがらだろうと思っていました。だって電車でたまたま八代から人吉に来た時、だれもお客いなかったんだよ。

しかし、今回はびっくり。
なんと鉄っちゃんの集団が、カメラを持って、電車の中をうろうろしているんです。
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乗ったのは、いさぶろう・しんぺい号です。

肥薩線がマイナーではなく、鉄道ファンにとっては熱いメジャー路線だったのは、乗ってはじめてわかいました。隼人までに原稿でも仕上げようか、とたかをくくっていた私の目論見は、うちくだかれました。
しかたなく、鉄ちゃんの一人になったふりをして、写真を撮って楽しみました。

途中のスイッチバックの駅には、蒸気機関車の給水塔がのこっていました。
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そして、人吉駅で買った握り飯弁当。大きくて食べきれません!
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あいにく、天気は曇りでえびの高原や韓国岳はみえませんでした。
それでも、1時間ちょっとの間、列車の旅を楽しみました。

ところで前田番長、キハってなに?客車?
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by giro1965 | 2009-02-25 21:59 | Books

沈黙・アビシニアン

沈黙/アビシニアン (角川文庫)
古川 日出男 / / 角川書店
スコア選択: ★★★★★

昨年読んだ古川日出男の「アラビアの夜の種族」は、私にとって、2007年のベストブックだった。

そういうこともあって、「沈黙」を出張と夜の不眠の供として、読みました。

決して読みやすい本ではありません。でも同じ世代の作家の中では、一番共感できます。

アラビアの夜の種族でもそうでしたが、この人は、読者を物語の迷路にさそいこんで、混乱させ、そして最後に光をあてて、救い出す、あるいは突き放す作家です。

ちょっとガルシア・マルケスみたいな作家でしょうか。

沈黙では、土地の限界や、暗闇をこえてアナーキーに越境していく弟と姉、そして音楽と悪、といったものがテーマとなっています。暗闇に勝つもの、それは光? そうではなくて、音です。それが、悪に勝つものは音というちょっと二元論的、しかしそれが様々な視点から語られるので、けっして単純な二元論、例えばダン・ブラウンの天使と悪魔みたいなことにはなりません。

この本でも、空想の音楽=ルコが、見出され、そして消されていくプロセスが書いています。一方アラビアの夜の種族ではアラビアの書がテーマになります。

もう一つのアビシニアンは、猫と1年公演で暮らした少女と、シナリオを書く男の愛のお話。
猫ライフのおかげで文字が読めなくなって、ブンガクは「語る」しかない・・・
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by giro1965 | 2008-01-30 12:48 | Books

ピレネー

昨日患者の紹介状を書いていて、人食い的心筋肥大と書いて送ってしまいました。(変換間違えです、本当は非特異的)

さて、ピレネーといえば、ツールドフランス愛好家の中ではアルプスと同じか、あるいはそれ以上にドキドキ・わくわくする所です。
2007年ツールでは、ラスムッセンがチームから除名されたり、新しいスター、コロンビアのソレルの活躍があったりで、怒り半分で興奮しておりました。

来年のツールドフランスでは、前半の山岳がピレネーにあたります。
7月13日 第9ステージ トゥールーズ~バニェールドビゴール 222km
7月14日 第10ステージ ポー~オタカム 154km
7月15日 休日
7月16日 第11ステージ ランヌムザン~フォワ 166km

私も妻と、いつか行きたいね、といつも話しています。そしてピレネーは13世紀の昔アルビ波あるいはカタリ波という異端キリスト教のため、十字軍がかなりひどいところをやったところである。カタリ派の宗教は「神は私たちの中にある」=教会の否定、そして「この世は苦しみ」=現世否定です。教会否定ですから、当時のローマ法王庁に嫌われ、異端扱いされ、そして異端裁判で次々と殺されていった。

んで、今読んでる本がこれ
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この作者は私の両親と仲良く、私が子供の頃からよく知っている精神科医です。モラルにあふれたサスペンス小説ですが、タイトルからいってダビンチコードを意識しているのでしょうね。でも私にとってはダビンチコードよりも面白かった。
ただ、暗号の解読過程は本書のテーマではありませんから、サスペンスとしてはちょっと劣るかもしれません。この本の特徴はカタリ派の立場で話を展開していくことです。


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一方、同じカタリ派の主題を教会の立場というよりも、人間のもっとどろどろした立場で扱ったのが佐藤賢一氏のオクシタニアです。佐藤賢一氏はモラリストではないので、もっと平気にイヤラシク、ドロドロしています。私もまったくモラリストではないので、こちらの方は単純に興奮して読みました。






こんな本を読んだあと、ツールのピレネーステージを見ると、地名に親近感が涌いてきます。
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by giro1965 | 2007-11-29 10:59 | Books

サクリファイス

このブログを読んでくださる多くの方々はすでに、サクリファイスを読んでいると思われる。

この本はスポ魂小説だ。しかも私たちが愛して止まないサイクルロードレースを舞台としたスポ魂小説だ。さらにエースをテーマとした小説ではなく、アシストをテーマとしている。これだけ要素がそれっていれば面白いに違いない。
箱根駅伝物語もめちゃくちゃ面白かったが、これはそれ以上かもしれない。どちらの本でもエースとアシスト間の男同士の愛がもっと書かれればきっとさらに面白いのだろうが、それは同人誌にとっておいてあげなければならないのだろうね。

正直めちゃくちゃ面白かったので、続編を希望します。もっとユルーリとした展開でもいいからね。ツールの第3ステージみたいのがいいなあ。昨日は風邪のため、家でボーっとしていた。テレビで録画したツールドフランスの第3ステージ…ほとんどドラマが無い普通のフラットステージレースをぼんやりと見ていた。逃げているのは二人。無名の選手。そこに、少しは名前がとおった選手が追いつく。そして最後は集団に吸収されスプリント…これはロードレースの普通の展開である。

この小説では、普通のレースがあんまり出てこない。ドラマがあるのは、山岳である。しかし多くのレースは最後のスプリントで決まる。それほど見場所が無いレースも多い。

ロードレーサーにとって、多くの時間はこういった展開の無いレースの中に埋没しているに違いない。しかしそういうことをほとんど省いたところに、この小説のスピード感がある。

何を言いたいのか自分でもわからなくなってきた。
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by giro1965 | 2007-11-19 13:50 | Books

ベネツィアの悪魔

今回のイタリア旅行中読んだ本はこれ
音楽とアートと伝説と人間模様がベネチアンガラスのように溶け合った名作である。
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もしもベネチアに2-3泊するのであれば、これは道中、そして行った後で読むには最高のスリラー小説。

ベネチアは街そのものが観光名所である。サンマルコ広場やドージェ宮殿は言うまでも無い。この小説は現代と18世紀にまたがって書かれているが、18世紀初頭まだ電気もないベネチア。夜になれば酔っ払いがドボンと落ちたに違いない。

そういう
リアリティとともに、生活者にとってみればスクオーラという所謂共済団体の役割が大きかった。現在もスクオーラは活動しているし、当時はアートを競っていたのだ。この本は当時の生活者がスクオーラサンロッコに持っていたイメージを再現している。そして今でも見ることができる。オリジナルタイトル Lucifer's Shadowの悪魔は、ティントレットの画題として、今でも見ることができる。

さらに大運河に不思議な印象を残すカ・ダリオや新ゲットー(新とつくが、もちろん一番古い)もこの本がガイドしてくれる。

またビバルディ、ジャンジャックルソーといった当時のスターをとにかく人間くさく、ストーリーに織り込んでいる。さらにはガルネリやパガニーニまで。

最後はリドで種明かしがされていくのだ。まさに今回の旅にぴったりだった。
ベネチア本島に行ったときは、この本に出てくるところばかり見て歩いた。
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by giro1965 | 2007-11-15 14:06 | Books