沈黙・アビシニアン
2008年 01月 30日
沈黙/アビシニアン (角川文庫)
古川 日出男 / / 角川書店
スコア選択: ★★★★★
昨年読んだ古川日出男の「アラビアの夜の種族」は、私にとって、2007年のベストブックだった。
そういうこともあって、「沈黙」を出張と夜の不眠の供として、読みました。
決して読みやすい本ではありません。でも同じ世代の作家の中では、一番共感できます。
アラビアの夜の種族でもそうでしたが、この人は、読者を物語の迷路にさそいこんで、混乱させ、そして最後に光をあてて、救い出す、あるいは突き放す作家です。
ちょっとガルシア・マルケスみたいな作家でしょうか。
沈黙では、土地の限界や、暗闇をこえてアナーキーに越境していく弟と姉、そして音楽と悪、といったものがテーマとなっています。暗闇に勝つもの、それは光? そうではなくて、音です。それが、悪に勝つものは音というちょっと二元論的、しかしそれが様々な視点から語られるので、けっして単純な二元論、例えばダン・ブラウンの天使と悪魔みたいなことにはなりません。
この本でも、空想の音楽=ルコが、見出され、そして消されていくプロセスが書いています。一方アラビアの夜の種族ではアラビアの書がテーマになります。
もう一つのアビシニアンは、猫と1年公演で暮らした少女と、シナリオを書く男の愛のお話。
猫ライフのおかげで文字が読めなくなって、ブンガクは「語る」しかない・・・
古川 日出男 / / 角川書店
スコア選択: ★★★★★
昨年読んだ古川日出男の「アラビアの夜の種族」は、私にとって、2007年のベストブックだった。
そういうこともあって、「沈黙」を出張と夜の不眠の供として、読みました。
決して読みやすい本ではありません。でも同じ世代の作家の中では、一番共感できます。
アラビアの夜の種族でもそうでしたが、この人は、読者を物語の迷路にさそいこんで、混乱させ、そして最後に光をあてて、救い出す、あるいは突き放す作家です。
ちょっとガルシア・マルケスみたいな作家でしょうか。
沈黙では、土地の限界や、暗闇をこえてアナーキーに越境していく弟と姉、そして音楽と悪、といったものがテーマとなっています。暗闇に勝つもの、それは光? そうではなくて、音です。それが、悪に勝つものは音というちょっと二元論的、しかしそれが様々な視点から語られるので、けっして単純な二元論、例えばダン・ブラウンの天使と悪魔みたいなことにはなりません。
この本でも、空想の音楽=ルコが、見出され、そして消されていくプロセスが書いています。一方アラビアの夜の種族ではアラビアの書がテーマになります。
もう一つのアビシニアンは、猫と1年公演で暮らした少女と、シナリオを書く男の愛のお話。
猫ライフのおかげで文字が読めなくなって、ブンガクは「語る」しかない・・・
by giro1965
| 2008-01-30 12:48
| Books