シクロクロスが好きなGIROの日記


by giro1965
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パウドリーノ

バウドリーノ(上)

ウンベルト・エーコ / 岩波書店



久しぶりにまともな読書、学生時代に読んだ、薔薇の名前、フーコーの振り子の著者、エーコの新作。お勧め度5段階評価の3+ぐらいかな。歴史が好き、かつガルガンチュアパンタグリュエルみたいな、とんでもない空想が好きな人にはお勧め。

上巻は主人公パウドリーノは、ひょっとした「嘘」からフリードリヒ赤髭公の養子となり、ヨーロッパ中を冒険し、皇帝バルバロッサと、第三次十字軍に旅立つ。ここまでは、歴史冒険小説。下巻はさらに荒唐無稽になり、司祭ヨハネの国に旅立つ、という設定になっているが、どこまで本当か、わからない、というか、すべて嘘なのは明らかな、中世奇譚小説。

最後には、自分もどこまでが本当かわからなくなり、そしてその話を聞いた歴史家ニケタス・コニアテスとの会話の行方は・・・という伝記ものになっていく。

嘘の話といえば、古川日出男『アラビアの夜の種族』が、似ているかも、どちらも歴史的舞台から話がはじまって、壮大な嘘の世界に連なっていく。こちらが極東の作者が見た中近東奇譚、一方エーコは西側の視点。日本人として読みやすいのは多分アラビアの夜の種族かな。

この二人の、一方はパウドリーノことエーコ、もう一方は古川日出男の法螺吹き度はすごい。小説とはわかりながら、法螺をかくさない両者、特にエーコの小説は、嘘とはなんぞや、ということを、ヨーロッパの教会中にある聖遺物を中心に考えてしまう。そういえば、今NHKで小説「大聖堂」もやっていたなあ。あれも聖遺物の嘘についての物語があったな。

私は凡人、せいぜいエゴの一部を膨らませた誇大妄想で、自分を虚飾するのが精一杯。どうせなら、こんな法螺吹きになれないかな、なんて、向こう側は小説の世界。
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by giro1965 | 2011-02-22 15:24 | Books